声と話し方でコミュニケーション能力を高める
感動ヴォイスクリエイター村松由美子です。
今日のテーマは、
「吃音症は遺伝?吃音の原因と治し方は?」です。
私は月に3回ほど
東京でセミナーを実施しています。
「感動ヴォイスのつくり方セミナー」
というタイトルで
そこに来てくださった
受講者の方々の声を
その場でより良く変えてしまいます。
セミナーの初めに
受講者の方のお悩みなどを
お聴きするのですが
その時にちらほら出て来るのが
「どもってしまう。吃音を治したい」
というものです。
あるいは
初めにはお話されませんが
時間が経過して
打ち解けて来た時に
出て来るお悩みのひとつに
「子供に吃音がある。
治してあげるヒントを得たい」
というものがあります。
そのお悩みとともに
お話されることが多いのが
この質問。
「吃音は遺伝が原因なんでしょうか」。
さて
吃音の原因は遺伝でしょうか。
あるいは
他に何かしらの要因があるのでしょうか。
目次
遺伝は50%ほど
一般的に遺伝的要因は
50%ほどだと言われています。
セミナー受講の際に
「子供に吃音があって・・・」
とお話される親御さん自身には
吃音がないケースが多いです。
海外では
吃音の原因遺伝子が発見され
研究が進められています。
原因が明確になるば
改善方法は見えてくる。
「この人の吃音は遺伝である」
と特定することができた場合
効果的な医学的治療方法が
出て来るのではないかと思います。
一方で
この「親から子へ」と考えた場合
「遺伝」ではなくて
「家庭や家族の環境」に
吃音の原因があるのではないか・・・
と個人的に感じることも実はあります。
この「環境」という部分を考えると
家庭や家族だけに限りません。
今まで生きてきた環境、人間関係
現在生活している中での人間関係が
吃音を引き起こしているケースです。
心理的な要因は
身体に影響を与えます。
それが
話し方に影響を与えるのです。
遺伝ではなく
そこには
後天的な要因が潜んでいます。
なぜ言葉につまるのか
突然ですが
ものすごくびっくりした時。
あなたは
どのような状態になりますでしょうか。
まず
言葉が滑らかに
自由に出てきませんよね。
順を追ってイメージしてみると
こうなると思います。
・・・・・
ものすごくびっくりすると
→目と口が大きく開き
一気に息を吸う
→呼吸が止まって
体がガチガチになって固まる
・・・・・
そのあとで
例えば
友達がふざけてびっくりさせただけ
だとわかった場合だと
ものすごく大きく息を吐きながら
「も〜〜〜、
びっくりさせないでよ〜。」
なんて言葉を発したりしますよね。
びっくりした時に
なぜこうなるのかということと
心理的な要因で
吃音になってしまう原因には
共通項があります。
前の文章でもお話ししましたが
原因が分かれば
治し方が見えてくるのです。
治し方のカギは呼吸にあり
先ほどの
びっくりしたケースで
考えてみましょう。
びっくりすると息を吸います。
なぜか。
これは
緊急事態に備えて
心身を緊張状態
覚醒の方向に持っていくためです。
なぜ吸うと緊張状態になるのか
これは
呼吸と自律神経が
つながっているからです。
自律神経について
ご存知の方も多いかと思いますが
この神経は
人が生命を維持するために
とても大切なもので
自律神経には
2つの種類があるのですね。
交感神経と副交感神経です。
交感神経の役割は
心身を覚醒
緊張状態に持っていきます。
副交感神経は
リラックス状態に持っていきます。
私たちの体は
息を吸うと交感神経が優位になり
緊張するようにできているのです。
なぜ大きく目を見開き口を開けるのか。
これは
よりたくさんの息を吸い込むためです。
私たちは体の構造上
目と口を大きく開けると
肺にたくさんの空気を
取り入れることが
できるようになっています。
ちょっと自分の体で試して見ましょう。
簡単にできます。
立ってでも座ったままでやっても
どちらでも構いません。
・・・・・・・・
①息を止めずに口をだんだんと開けていきます。
そしてまた
口をだんだん閉じてきます。
→口を開けた時、閉じた時。
それぞれ呼吸はどうなっていましたか?
吸っていましたか、吐いていましたか?
②同じく、息をしたまま
(口は閉じておいてください)
今度は目を大きく見開いていってください。
そしてまた
目をもとに戻してください。
→目を見開いた時、もとに戻した時。
それぞれ呼吸はどうなっていましたか?
吸っていましたか、吐いていましたか?
・・・・・・・・
さてさて。
できましたでしょうか。
答えはこれです。
・・・・・・・・
口を開けていくと、吸う。
閉じていくと、吐く。
目を見開いていくと、吸う。
もとに戻していくと、吐く。
・・・・・・・
その逆は難しいのですね。
これが人間の体のしくみです。
なぜこうなるのか。
理由はこうです。
表情の筋肉と横隔膜が
繋がっているから。
横隔膜というのは
上の写真では肺の下にある
黄色い線の部分にあたります。
表情を動かすと
横隔膜が下がります。
肺というのは
自分で膨らんだりしぼんだりできません。
周りの筋肉が肺を動かしています。
横隔膜が下がると
肺は大きくならないといけません。
中に空気を入れないと大きくはならないので
空気を吸い込みます。
逆に
表情をもとに戻すと
横隔膜ももとに戻り上がります。
肺は小さくならないといけない。
小さくなるためには
中にある空気を外に出さないといけない。
だから空気を吐き出します。
という具合に
表情と横隔膜はつながっています。
目と口を大きく開けると
肺にたくさんの空気を
取り入れることができる。
それだけ
緊張させることができるということですね。
大きくびっくりすればするほど
目と口を大きく開けますものね。
そして・・・
例えば
「いやいや、そんなに
びっくりするほどのことでもなかった」
とわかった場合
私たちは目を細めて口を小さくさせて
身体の筋肉を緩め
「もう〜〜〜〜〜」と
大きく息を吐く。
吐くと
副交感神経が優位になる。
心身が非常にリラックスして
落ち着いていくのですね。
体は自動的に変化して
心の状態の
コントロールもしてくれています。
吃音でお悩みの方。
吃音になってしまうときのことを
じっくりと思い出してみてください。
まずは心理状態。
「人に悪く思われるのは嫌だ」
「うまくやらなくてはいけない」
「失敗してはいけない」
いろんな不安や恐怖が心を覆い
過度に緊張していませんか?
プレッシャーを感じていませんか?
ものすごくストレスフルではありませんか?
そして身体の状態。
体がガチガチに固まっていませんか?
緊張すると息が浅くなり
苦しくなります。
呼吸が浅くなっていませんか?
あるいは止まっていませんか?
吸う息の方が多くないですか?
心と身体はつながっています。
ということは
治し方のアプローチには
2つの方向があるということです。
遺伝ではなく
吃音になってしまうケースの
直接の原因は
身体の硬直と浅い呼吸です。
心理状態の過度な不安や恐怖が
体の動きをストップさせます。
心理から吃音を治していくアプローチ
物事の受け止め方を
変える練習をしましょう。
ストレスを生みやすい考え方に
「マスト(must)思考」
「シュッド(should)思考」
というものがあります。
物事に対して
「〇〇しなくてはいけない」
「〇〇すべきである」
と捉えて考えてしまうと
自分の心をがんじがらめにして
不安や恐怖を生んでいきます。
この思考が多い方は
「〇〇するとさらによくなる」
「〇〇してみるとさらに楽しくなる」
などの
気持ちを張り詰めすぎない思考に
変化させてみてください。
身体と呼吸から吃音を治していくアプローチ
吃音の方は
身体の硬い方が多いと思います。
まずは
筋肉の緊張を解きましょう。
特に上半身のストレッチを
続けてください。
緊張すると
人は上半身に力みが入るからです。
私も10年以上
毎日20分くらいのストレッチを
続けていますが
特に上半身のストレッチを
多く実施しています。
上半身に力みがなくなれば
自然と声帯も緩み
音声がスムーズに出やすくなります。
そして
吃音の方は話をするときに
ゆったりと息を吐くことが
難しくなっていますね。
ですので
まずは焦らずにゆーっくりと
吐く呼吸の練習をすること。
そして
そのゆったりとした呼吸に
音声を乗せていく
練習をしてみてください。
ハミングエクササイズという
動画を作っています。
このエクササイズでは
長くゆっくり息を吐きながら
そこに
音声を乗せていく練習ができます。
吃音の治し方にも効果的ですので
ぜひ試してみてください。
というわけで今日は
「吃音症は遺伝?吃音の原因と治し方は?」
というテーマでお届けしました。